コートを脱いだら裏地を見せるのが正しいマナー?
こんにちは、エレガンテです。
「先生、コートを脱いだら裏にしなくていいのですか?」
先日、生徒さんからこんな質問を受けました。
立ち居振舞いレッスンではスムースな上着の脱ぎ着をご指導していますが、私は裏地を見せないようたたむ所作をお勧めしています。
洗濯表示などをビラビラ見せるのは美しくないと思いますし、そもそも裏地は他人様に見せるようには作られていない(派手な刺繍の入った裏地をこれ見よがしに自慢したがるヤンキーもいますが・・)、また裏地を見せる=下着を公衆の面前にさらす、ような一抹の気恥かしさを覚えます。
ところが最近、裏地を見せてコートをたたむ方が増えています。
それどころか若者の間では裏地を見せる方が「正しいマナー」として主流になっているようなのです。
そこで、裏地文化のルーツを探ってみました!
日本古来の衣装は着物ですからコートにあたる羽織を裏返しにする習慣はそもそもありません。
西洋でもコートを裏返しにして持ち歩く習慣はありませんね。
ということは日本独自の進化を遂げたガラパゴスマナーの一種?
明治以降、洋装文化が日本にやってきてテーラーでオーダー縫製する「外套」はとっても貴重で高価なものでした。
ハンガーが今ほど身近でない時代、庶民は一張羅のコートを表地が傷まないように大切に内側にたたみました。
しかし、それはあくまで、他人様の目に触れない内輪でのこと。訪問先でコートの裏地を見せてたたむのはご法度!
なぜなら、その家が汚くて表地のままでは置けない、という意味になってしまうから。
そうした物を大切にする日本人の内々でのたたみ方が現在のような「公の正しいマナー」へと進化したのはいつ頃でしょうか。
それは花粉やインフルエンザが問題になり始めた頃のようです。
外の埃や花粉を家の中に持ち込まれたくない、むしろ迷惑
↓
埃や花粉はコートの外側に付いてる
↓
コートの裏側には付いてない
↓
表地を内側に裏地を外側にすれば?
↓
やっちゃう?
↓
やっちゃおうよ、花粉イヤだもん
↓
裏地を見せてたたむのがマナーでございます
と後付けのマナーが創作された??
それが近年、就職活動の面接対策と称したマナー講座やテレビ番組などで「正しいマナー」として一気に拡散したようです。
コートの埃や花粉を訪問先へ持ち込まない
確かに一理ありますし日本人らしい細やかな配慮だと思います。
飲食店などでコートに匂いが移らないように表地を内側にたたむのも良いアイデアだと思います。
ただ総裏ならまだしも背抜きや肩パット丸見えの裏側を堂々と見せてしまう美的センスのなさ、がやはり、私には抵抗があるのです。
そこで冒頭の生徒さんの質問に対する私の答えはこちら。
「コートの裏を見せても表を見せてもどちらが絶対的に正しくて間違えということはないと思います。表・裏、いずれにも上記のような理由があり、その上で私は表をお勧めしています。」
・同じ時間に
・同じ場所で
・お互いが気持よく過ごす
その目的のために
・相手を敬い
・相手を不快にさせず
・自分に好感を持って頂く
最低限度のルールやお作法がマナー。
各国の歴史や文化、慣習によっても所作は異なるでしょうし、その時々の状況によって適切な対応が変わることもあります。
時代の流れで人々の生活や美意識や考え方が変わればマナーも微妙に変化していくことでしょう。
とすれば・・・
私が絶対的に正しくて貴方は間違っています!
なんて、
得意満面に相手を否定するマナー講師がいたら、その方がおかしいんじゃないかしら。
教える側の私が言うのもなんですけど・笑
次回は
『みんなで止めませんか?コートを外で脱ぐ日本式マナー』
お楽しみにね♪
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